龍谷シンフォニックバンド

スプリングコンサート 2023

たくさんのご来場ありがとうございました!

2023年4月9日(日)

開場13:30 開演14:00
入場料無料、全席自由

場所:京都市東部文化会館

指揮:若林 義人(龍谷大学吹奏楽部 音楽監督・常任指揮者)

指揮:児玉 知郎(龍谷大学吹奏楽部 コーチ)

第1部 オリジナルステージ

セント・アンソニー・ヴァリエーションズ
W.H.ヒル

本作品は《原典版》と《コンクール版》の2種類の楽譜が存在するのはご存知だろうか。
《原典版》は1979年カリフォルニア州の高校バンドの委嘱により作曲され、同バンドの指揮者に献呈された。翌年に作曲者本人の指揮で日本初演、その流れで吹奏楽コンクールで演奏されることになる。制限時間の都合のため、改訂編曲版として1981年文教大学が全国大会出場し銀賞受賞。1985年に新たな短縮改訂版である《コンクール版》を天理高校が全国大会で披露し金賞受賞、一躍有名になり出版された。当時は《原典版》楽譜が未出版であったため、本作品=《コンクール版》が定着してしまったのだ。しかし、この改訂編曲は作曲者自身の許諾を得ており、数奇な運命をたどってきた一曲と言えよう。

主題である「聖アントニーのコラール」は『ハイドンの主題による変奏曲』(J.ブラームス)で知られており、ヴァリエーションズ(変奏曲)として変容する様子をお楽しみいただきたい。
なお、今回は《コンクール版》楽譜にて演奏する。


岸辺のモリー
P.グレインジャー

アイルランド音楽のリール(舞曲)である『Temple Hill』と『Molly on the Shore』を組み合わせた一曲。1907年に弦楽四重奏版、1920年にオーケストラ版および吹奏楽版に編曲され、いずれも彼の母親への誕生日プレゼントとしている。
快活なテンポで2曲のテーマが単独・織り混ざりながら進行する。クラリネットをはじめとする木管楽器の指さばきからメロディーが奏でられる、自然と手を繋いで踊りたくなるような舞曲である。

余談だが、タイタニック号が沈没する中、船専属バンドが実際に演奏していたとか。生存者の一人であるMargaret “Molly”Brownが無事に岸辺へたどり着くことができるように祈りながら…。なんとも素敵な話だ。


リンカンシャーの花束
P.グレインジャー

  • 第1曲 Lisbon リスボン(船乗りの歌)
  • 第2曲 Harkstow Grange ホークストウ農場(守銭奴とその召使い:地方の悲劇)
  • 第3曲 Rufford Park Poachers ラフォード公園の密猟者(密猟の歌)
  • 第4曲 The Brisk Young Sailor 元気な若い水夫(恋人と結婚するために帰郷)
  • 第5曲 Lord Melbourne メルボルン卿(戦いの歌)
  • 第6曲 The Lost Lady Found 行方不明のお嬢さんが見つかった(踊りの歌)

1905年頃に作曲家本人がイングランド東部のリンカンシャー州を訪問し、歌い手から民謡を収集した。それらの中で6つの民謡を編曲および楽章毎に整理したのが本作品。タイトルの意味は《音楽の野生の花束》とのことである。

彼は現地で聴いた不規則なリズムや、日本でいう小節(コブシ)に近い間延びした節回しの民謡をそのまま楽譜で再現しようとしたため、変拍子や装飾音符・強弱記号等が事細かく記載されている。
さらに3楽章は2バージョン用意されている。理由として、歌い手に何回も歌ってもらう度にアレンジが異なっていたことに由来している。また、5楽章冒頭は小節線がなく音符上に「↓」記載があり、指揮者が節回しを指示する方法を採用している。

テレビもラジオもない時代から物語として歌い続けられてきた民謡。一曲一曲に歴史があり、また未来へ歌い続けられる。それぞれの曲に込められた感情や情景に想いを馳せながら、20世紀前半で重要な吹奏楽曲を演奏する。


第2部 ポップスステージ

ゲゲゲの鬼太郎 Funk Ver.
金山 徹 編曲

アニメ第1期(1968年~1969年)が放送されて以来、約50年以上にわたって愛されている「ゲゲゲの鬼太郎」。本作品は我々に<妖怪>のイメージを定着させたと言っても過言ではないだろう。
誰もが聴いたことがある“ちょっと不気味な音楽”をアニメ第5期(2007年~2009年)ではFunk風にアレンジし、泉谷しげる氏をヴォーカルに迎えた。今回は雰囲気そのままにアレンジした金山徹氏の編曲でお届けする。
もしかすると主人公 鬼太郎の仲間達がこっそりと演奏している…かもしれない。


「となりのトトロ」~コンサート・バンドのためのセレクション
後藤 洋 編曲

スタジオジブリ作品の世界を表現したジブリパークがついに昨年開業した。もちろん「となりのトトロ」の世界も再現しているらしく、ぜひ五月(さつき・メイ)に訪れてみたいところだ。
その世界観になくてはならないあの名曲たちをメドレー風に演奏する。『風の通り道』による導入に続き、『さんぽ』、『五月の村』、『すすわたり』、『風の通り道』、『ねこバス』、そして『となりのトトロ』。まるで映画を観ているかのようにドラマを紡いでいく。
上映から約35年経過しても心を捉え続けている本作品。複雑化した現代において、本作品が伝えたいメッセージを今一度考えるべきという気がしてならない。


「鬼滅の刃」メドレー
三浦秀秋 編曲

社会現象を巻き起こした「鬼滅の刃」からアニメ・映画で使用された大人気楽曲を4曲メドレーにてお届けする。
アニメ第1期オープニングテーマである『紅蓮華』、エンディングテーマの『from the edge』、挿入歌の『竈門炭治郎のうた』、そして映画主題歌である『炎』。各曲の歌詞を思い浮かべながらお楽しみいただきたい。
4月より放送開始する第3期 “刀鍛冶の里編”が楽しみで待ち遠しい。


JazzコレクションVol.2 ~ドラえもん組曲~
金山徹 編曲

  • I. 夢をかなえてドラえもん
  • II. ドラえもんのうた
  • III. ぼくドラえもん

1979年放送開始以来、日本中に夢と感動を与え続けてきた国民的アニメ「ドラえもん」。誰でも一度は耳にしたことのある定番のテーマ曲3タイトルが、ジャズナンバーへ新装され組曲となった。

『I. 夢をかなえてドラえもん』はスタイリッシュなトロンボーン・ソロを取り入れ、ビッグバンドを彷彿とさせる華々しくきらびやかなサウンドへアレンジ。『II. ドラえもんのうた』はソプラノサックスとアルトサックスのソロをフィーチャーした、艶と潤いのあるボサノヴァのナンバーに。『III. ぼくドラえもん』は往年のダンスバンドを思わせる、トランペットが大活躍のゴージャスなスウィング調へ。子どもから大人まで楽しめるノリノリな一曲である。
2112年の未来から来たドラえもん。残り89年、彼に会える日までそう遠くないと感じてしまう。